はいどーもこんにちは。ぼくです。
前回の記事で、ロクサスとアクセルの関係がいかに特別だったかという話をしました。
そうなると、どうしても次は彼女の話をしないわけにはいかない。
そう、シオンです。
先に言っておきますが、
この記事は『キングダムハーツ 358/2 Days』の物語の核心に触れるネタバレを含みます。
ただ、シオンというキャラクターは、
ネタバレを避けて語ろうとすると、どうしても輪郭がぼやけてしまう存在でもあります。
「なぜあの物語が、あそこまで心を抉ってくるのか」
「なぜプレイヤーは、今でもシオンの名前を思い出すだけで胸が苦しくなるのか」
それを避けずに、ちゃんと向き合って書きたい。
KHシリーズは設定を追いかけるだけでも一苦労なわけですが、
こと『358/2 Days』において、シオンという存在が背負わされたものは、
あまりにもシンプルで、だからこそ救いようがないほど残酷なものでした。
今回は、ロクサスという少年の物語を語る上で欠かせない
「もう一人の親友」について、少し掘り下げてみたいと思います。

シオンとは何者だったのか
まず整理しておかなければならないのは、
シオンという少女が、そもそも「何者」として生まれた存在なのか、という点です。
彼女は「13機関」の14番目のメンバーとして迎え入れられましたが、
その出自は、他の機関メンバーとはまったく異なるものでした。
彼女の正体は、
機関のリーダーであるゼムナスらが進めていた「レプリカ計画」によって生み出された、
**「人形(レプリカ)」**です。
本来、心が欠落しているはずのノーバディたちとは違い、
シオンは最初から「造られた存在」として、
機関に利用されるためだけに用意されていました。
この時点で、
彼女に用意された立場が、どれほど不安定で危ういものだったかがわかります。
シオンの運命や、
ロクサスたちが置かれていた立場を理解するには、
XIII機関という組織そのものを知る必要があります。13機関の目的や構成については、
こちらの記事で整理しています。
▶︎ XIII機関まとめ記事
では、なぜ彼女は機関にとって、
それほどまでに「特別な存在」だったのでしょうか。
それは、彼女が
「ソラの記憶」をコピーするために作られた器だったからです。
ロクサスが「ソラの肉体と魂」から生まれた存在であるのに対し、
シオンは、
「ロクサスを通じてソラの記憶を吸い取る」ために調整された存在でした。
機関の目的である「キングダム ハーツ」を完成させるための、
いわばバックアップとして用意されたキーブレード使い。
それが、シオンという存在の正体だったわけです。
ちなみに、
シオンの外見が「黒髪の少女」として僕らの目に映るのは、
彼女の中に流れ込んだ記憶――特にカイリの記憶が、
強く反映されているからだとされています。
ロクサスにとっては「大切な親友」でありながら、
ソラにとっては「自分を形作る欠片の一部」に過ぎない。
このどうしようもなく危ういバランスこそが、
シオンという存在そのものだった、というわけです。
ロクサスとシオンの「温もり」
そんな、残酷な目的のために用意されたシオンですが、
ロクサスとの関係は、
冷徹な13機関の中にあって、**数少ない「温もり」**だったと言えるでしょう。
出会ったばかりの頃のシオンは、
言葉も話せず、感情も乏しい、まさに「人形」そのものでした。
そんな彼女に、
一番最初に歩み寄ったのがロクサスです。
任務を通じて、少しずつ言葉を交わし、
貝殻を拾ったり、夕日を眺めたり。
そうした何気ない日常の積み重ねの中で、
シオンは少しずつ、
まるで本当に心を持っているかのような表情を見せるようになります。
二人の絆を象徴するのは、
やはり時計台で食べる「シーソルトアイス」でしょうね。
任務が終われば時計台に集まり、アイスを食べる。
他愛もない会話をして、笑い合う。
心を持たないはずの彼らにとって、
あの時間は、
「自分がここにいていい」と思える唯一の証明だったわけです。
ロクサスにとって、
シオンは単なる同僚ではありませんでした。
「自分は何者なのか」という、同じ悩みを抱える鏡のような存在であり、
そして、守るべき大切な家族のような存在。
アクセルを含めた三人の時間は、
ロクサスが初めて手に入れた「居場所」だったわけですが、
皮肉なことに、
その穏やかな日常こそが、
静かに進んでいく悲劇へのカウントダウンでもあったわけです。
この時間を語るうえで、
ロクサスにとってアクセルがどんな存在だったのかも、
やはり欠かせません。ロクサスとアクセルの関係については、
こちらの記事で詳しく整理しています。
▶︎ ロクサスとアクセルの関係を解説した記事
なぜシオンは消えなければならなかったのか
ここからは、
多くのプレイヤーが涙した「シオンの消失」の真相について、
少し踏み込んで触れておきます。
なぜ彼女は、
あれほど大切だったロクサスの前から、
自ら消えるという選択をしなければならなかったのか。
結論から言えば、理由はひとつです。
「シオンが存在し続けると、ソラが目覚めないから」。
シオンはロクサスを通じて、
ソラの記憶を無意識のうちに吸収し続けていました。
彼女が強くなればなるほど、
ソラの記憶修復は滞り、
本物であるソラは、永遠に目覚めることができなくなってしまう。
さらに残酷なのが、
シオンとロクサスの関係性でした。
シオンが強くなればロクサスは弱くなり、
ロクサスが強くなれば、
今度はシオンが存在を維持できなくなる。
二人は同じ「ソラの力」を分け合う存在であり、
「一方が存在するためには、もう一方が消えなければならない」
という、あまりにも残酷な二者択一を迫られていたわけです。
賢者アンセムやリクの視点から見れば、
世界を救うためにはソラの復活が不可欠。
だからこそ、
イレギュラーであるシオンは、
**「消えるべき存在」**と判断されました。
けれど、ロクサスにとっては、
そんな理屈で納得できるはずがありません。
「世界のために死んでくれ」と言われて、
素直に頷けるわけがない。
この
**「世界のルール」と「親友を失いたくないという感情」**の衝突こそが、
『358/2 Days』という物語が抱える、
最大の葛藤だったわけですよ。
シオンはやがて、自分の正体を知り、
自分が存在し続けることで、
ロクサスやソラを苦しめているという事実に辿り着きます。
そして彼女が選んだ答えは、
**「ロクサスの手によって、自分を終わらせてもらうこと」**でした。
愛する親友の手にかかって消滅し、
ソラの中へと帰っていく。
それが、
シオンが選んだ、
最初で最後の「自分の意志」だったわけです。
ここまで読むと、
『358/2 Days』という物語を、
もう一度きちんと見返したくなった人も多いと思います。シオンという存在が何を背負い、
どんな選択をしたのかは、
やはり本編で体験してこそ伝わる部分も大きいです。
映像作品として収録されているのはこちら▼キングダム ハーツ - HD 1.5+2.5 リミックス - PS4
コミックス版はこちら▼
キングダム ハーツ 358/2 Days 1巻 (デジタル版ガンガンコミックス)
その後のロクサス
シオンとの別れは、
ロクサスの運命を、決定的に変えてしまいました。
彼女が消滅したと同時に、
シオンに関する「記憶」もまた、
周囲の人間たちから、少しずつ消えていきます。
「忘れたくない」と、
あれほど強く願っていたはずなのに、
名前すら思い出せなくなっていく。
ロクサスの中に残ったのは、
名前のない「欠落感」と、
そして、言いようのない怒りだけでした。
シオンを失い、
彼女を道具としてしか見ていなかった13機関に対して、
ロクサスの感情は、ついに爆発します。
「シオンを返せ!」
その叫びとともに機関を抜け、
たった一人でゼムナスに立ち向かおうとする。
このとき彼を突き動かしていたのは、
正義感や使命感などではありません。
失った親友への執着と、どうしようもない悲しみでした。
そう考えると、
この物語の結末は、
誰も救われないように見えます。
シオンは消え、
ロクサスは記憶を消され、仮想の街へ。
アクセルは、親友二人を同時に失う。
「自分たちは、何のために生まれてきたのか」
その問いに対して、
あまりにも残酷な答えしか用意されていなかったこと。
それこそが、本作が
キングダムハーツ上「最泣きゲー」と呼ばれる所以なのかもしれません。
まとめ:本物の時間
シオンという存在を理解することは、
ロクサスというキャラクターの深みを知ることと、ほとんど同義です。
彼女は、
単なる「悲劇のヒロイン」ではありません。
「自分は偽物かもしれないけれど、
それでも、過ごした時間は本物だった」
そのことを、
自分の消滅という形で証明してみせた少女でした。
ロクサスが『KH2』の冒頭で抱えていた、
言葉にできない切なさの裏側には、
常に「シオン」という、欠けたままのパズルのピースがありました。
彼女がいたからこそ、
ロクサスは「心」を持つことの喜びと苦しみを知り、
そして、あんなにも魅力的なキャラクターになった。
KHシリーズを語る上で欠かせない、
切なくも、美しい――
まるで溶けてしまう前の「シーソルトアイス」のような物語。
次に『358/2 Days』をプレイする時は、
ぜひ、
彼女が拾った貝殻や、
夕暮れの空の色を、少しだけ思い出してみてください。
きっと、
同じシーンでも、
少しだけ違って見えるはずです。
ロクサスの正体や存在理由、
シリーズ全体での立ち位置をまとめて整理したい方は、こちらの記事からどうぞ。
▶︎ ロクサスまとめ記事
ここまで読んで、
「自分でも『358/2 Days』を追いたい」
「今から入るなら結局どれを買えばいいのか知りたい」
と思った方は、こちらにまとめています。
▶︎ 【キングダムハーツ】どれを買えばいい?初心者が後悔しない選び方